「ただの実習」じゃない! 模擬会社学生社長たちが挑んだ、「阿波すず香」のインバウンド向け加工品開発プロジェクト

模擬会社「徳島農大そらそうじゃ」の皆さんにインタビューしました!

徳島県立農林水産総合技術支援センター農業大学校。ここで、まるで本物の企業のように活動する学生たちがいます。その名は、模擬会社「徳島農大そらそうじゃ」。
今回は、徳島県育成の柑橘「阿波すず香(あわすずか)」を使った、インバウンド向け商品開発プロジェクトの中心メンバーである、社長の藤木くん、副社長の関野くん、そして開発担当の清水くんにインタビュー。
プロジェクトメンバーとの連携、インバウンド客への販売・PR、そして卒業後の進路まで……。等身大の言葉で語られる、彼らの「本気の1年」に迫ります!

■ 全校生徒が「社員」? 模擬会社「徳島農大そらそうじゃ」とは

——まずは藤木社長、自己紹介をお願いします!

藤木くん(社長): 農業大学校の模擬会社「そらそうじゃ」で社長を務めている藤木です。 この会社は、実は学校に入学した生徒全員が「社員」になる仕組みなんです。僕たち役員5名を中心に、「生産管理部」「品質・営業部」「総務・経理部」という3つの部署に分かれて活動しています。

——本格的な組織図があるんですね! 今回のプロジェクトはどんなきっかけで始まったのですか?

清水くん(開発担当): もともと先輩方が企業(株式会社ハレルヤ)へインターンシップに行っていた流れがあったのですが、そこに農家さんから「県育成品種「阿波すず香」で何か商品化できないか」という相談が重なったんです。 「それなら、農大も企業も力を合わせて大きなプロジェクトにしよう!」ということになり、生産者や高等教育機関、民間企業など多様なメンバーが参画するイノベーションHUBの枠組みを使って、動き出したのが始まりですね。

■ こだわりは「果皮」!/ プロの仕事に学んだこと

——今回開発した「ブッセ」と「パンナコッタ」。あえてユズやスダチではなく「阿波すず香」を選んだ理由は?

清水くん: 僕が思う阿波すず香の最大の魅力は、「果皮」なんです。 ユズやスダチと違って苦味が少なく、そのまま美味しく食べられる。あと、香りの良さが魅力ですね。だから商品開発でも「果皮を使うこと」には絶対こだわりました。ブッセにもパンナコッタにも果皮が入っていて、その食感が人気のポイントになっています。

——なるほど、素材の特徴を知り尽くしているからこそのアイデアですね。逆に、企業の方と一緒に活動して、「プロはすごいな」と感じたことはありましたか?

清水くん: やっぱり「見せ方」のこだわりですね。 例えばパッケージ。最初は透明なフィルムだったのですが、それだと安っぽく見えてしまう。そこで、和紙風の少し硬い包装材にして高級感を出したり、箱にストライプ柄を入れて商品棚に並べた時に他商品に埋もれず目立つように、阿波すず香らしい「黄色感」を演出したり。 空港でインバウンド客にお土産として販売する時のために、移動中に潰れないよう強度の高い「箱売り」を用意したのも、プロのアドバイスがあってこそでした。また、商品開発については、お客様のターゲットを絞り、何度も試作を重ね、配合を変えて賞味期限を延ばす取組を行いました。
加えて、UGDESIGNさんには、インバウンド向けの動画を制作いただいており、映像を通して阿波すず香の関連する作り手(生産者・加工メーカー)の想いや魅力を伝えることができ、プロモーション戦略の重要性を学ぶことができました。

商品開発打合わせ.jpg

        (プロジェクトメンバーとの商品開発打合せ) 

阿波すず香のブッセ商品.jpg阿波すず香パンナコッタ.jpg

    (阿波ずず香のブッセ)      (阿波ずず香のパンナコッタ)

■ 京都・インバウンド客への「プレゼン」!

——県内外に販売・PRに行かれていると思いますが、印象に残っていることはありますか?

関野くん(副社長): 特に京都の「GOOD NATURE STATION」での販売は印象に残っています。 お客様の6〜7割が外国の方で……。僕は農大では生産コースに所属しており、農作物の栽培管理が専門なので、言葉の壁がある中でのプレゼンは本当に難しかったです。

——どうやって乗り越えたんですか?

関野くん: ある時、耳の不自由な外国のお客様がいらっしゃって。とっさにスマホの「翻訳アプリ」を使って、筆談のようにして説明したんです。 そうしたら、画面を見て笑顔で理解してくれて、商品を2つ買ってくださいました。あの時は「伝わった!」と嬉しかったですね。その後、僕たちが出展できないときでも阿波すず香の魅力が伝わるよう、英語版のPOPも作成しました。

清水くん: 知名度がない分、とにかく試食をしてもらって阿波すず香の「味と香り」を知ってもらう作戦でいきました。その結果、徳島空港では初日からかなり売れ行きが良くて、追加発注がかかるほどでした。有限会社にこにこみやげ店さんが利用客の一番目につきやすい位置に商品を陳列してくれたのも大きいですね。商品の陳列や販促グッズの配置なども勉強になりました。

 

京都でのブッセ試食販売.jpgグッドネーチャーステーションホテルイベント販売1.jpg

                      (京都での販売・PR)                                 

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       (徳島空港での販売・PR)  

■ 苦手だった「会話」が武器に。そして未来へ

——この1年を通して、皆さんが「成長したな」と感じる部分はありますか?

藤木くん: 僕はもともと、人前で喋るのがすごく苦手だったんです。 でも社長になってから、県庁での発表や商工会議所での記者会見など、逃げられない場数をたくさん踏ませてもらって(笑)。おかげで、今ではだいぶ堂々と話せるようになりました。

関野くん: 僕は次、農業団体の営業職に就くのですが、今回の「商品の魅力を伝える」という経験は、そのまま仕事に活かせる自信になりました。

——素晴らしい成長ですね! 開発担当の清水くんは、卒業後の進路は?

清水くん: 実は加工品の商品開発の業務に携わりたいと思い、地元食品会社に就職が決まりました。

——えっ、すごい! まさにプロジェクトからの直結ですね。

清水くん: はい。先輩たちが築いてくれた流れを引き継ぎ、就職してからも「阿波すず香」などの県産品の研究や商品開発を続けていきたいと考えています。いつか県産品でインバウンドや輸出向けなどのヒット商品を生み出していきたいです。

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