風の力で農業が変わる!?ミニトマト「送風受粉機」 開発の舞台裏

「ミニトマトの安定生産を実現する送風受粉機の開発チーム」の皆さんにインタビューしました!

徳島県から農業の未来を変える、ワクワクするような挑戦が始まっています 。今回取材したのは、「とくしま農林水産業イノベーションHUB」のプロジェクトとして進められている「ミニトマトの安定生産を実現する送風受粉機の開発チーム」です 。
「ハチが働けないなら、風で解決しよう!」という新たな切り口から生まれた、研究現場の熱い奮闘記をお届けします 。

1. 現場の悩み:暑すぎてハチが働けない!?

近年、夏の猛暑が農業現場を直撃しています。ミニトマト栽培に欠かせないポリネーター(受粉を助ける昆虫)である「マルハナバチ」も、暑すぎると活動が低下してしまいます。
「ハチが動かなくなる8〜9月頃は、人間がハウス内で1花房ずつ受粉を促す専用のホルモン剤を花に吹きかける『ホルモン処理』を行わなければなりません。気温が40度近くもあるハウス内での作業は、極めて過酷な重労働です。」
そう語るのは、徳島県立農林水産総合技術支援センターの生月主任研究員です。

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       (マルハナバチ)                 (ミニトマトのほ場の様子)

2. 「風」の力で、持続可能な農業へ

風を使った受粉の研究は令和4年頃から始まりました。これまでの成果は、受粉に効果的な送風方法として「送風口は上下に可動し、風速は15m/s程度は必要である」ことが明らかとなっています。ハンディブロアによる実証試験では、ホルモン処理とほぼ同程度である9割の正常着果率が確認できました。

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        (ハンディブロアによる実証試験の様子)

送風技術を現場へ普及するには送風の自動化が必要です。送風受粉機の開発、商品化に向けた取組の一環として試作機を開発するため、自動車工学のスペシャリストである徳島工業短期大学の助道教授、後藤教授との農工連携がスタートしました。

3. 合言葉は「簡単で使いやすく・自分で直せる」

驚くべきは、その開発スタイルです。最先端のロボットをゼロから作るのではなく、目指したのは「誰でも簡単で使いやすく、自分でメンテナンスできる簡易な送風受粉機」でした 。
• 材料は身近な場所で: 教授自らホームセンターへ足を運び、理想の動きができるダクトやバネを探して回りました 。
• 低コスト: ハンディブロアなど市販のパーツを組み合わせ、コストを30万円弱に抑制。
• メンテナンス性: ホームセンターで部品が入手できるため、現場の農家さんがいつでも部品交換や修理などができるので安心して使用できます。

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    (試作機前面)               (試作機側面)

4. 執念で再現した「人間のような滑らかな動き」

開発で最も苦労したのは、送風ノズルの「滑らかな上下運動」の再現でした 。人がハンディブロアを動かす動画をもとに試作を重ねること5回 。
モーターとリンク機構というシンプルな仕組みを採用しつつ、ダクトの素材を工夫することで、まるで人がハンディブロアを振っているような、なめらかな動きが完成しました 。

          (完成した送風受粉機の試作機の様子)

5. 異分野連携が生む「ワクワク感」

徳島工業短期大学が農業分野とコラボレーションするのは、実に約20年ぶり。専門外の分野ゆえの苦労を尋ねると、両教授からは意外な答えが返ってきました。
• 助道教授: 「より使いやすい形へ改良していく工程は、クイズを解くようで最高に楽しかったですね 。特にこだわったのはブロワの着脱機構 。外して手作業で風を当てたり、ハウスの掃除に使えたりと、現場での利便性を追求しました。」
• 後藤教授: 「特別な材料を使わず、二人で試行錯誤するのは楽しかったです。私たちが作っているのは料理のレシピのようなもの。農家さんが現場に合わせて、自由にアレンジしてもらえたら嬉しいですね。」

6. 徳島から全国へ!広がるイノベーション

このプロジェクトは、単なる研究では終わりません。今後は生産者(みのるファーム(株)等)のハウスでの実証試験を経て、農業機械メーカーへの技術移転(社会実装)を目指しています。
「メーカーが動くには確かなデータが必要です。だからこそ、イノベーションHUBの取組で私たちがまず形にしていくことが重要でした。」と生月主任研究員は語ります 。
将来的には、ボタン1つで自律走行し、受粉を完結させる完全自律式送風受粉機の構築も見据えています。徳島の「農」と「工」が手を取り合ったこの挑戦が、日本の農業に新しい風を吹き込もうとしています 。

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   (「送風受粉機の開発チーム」の皆さん)       (試作機について意見交換)

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